陸前高田市探訪 「甦る記憶」リメイク版

震災前から震災を経て現在までの記録画像を纏めたリメイク版

令和6年度冬季特別展「陸前高田のオシラサマはいま」

~令和に伝える謎の民間信仰

陸前高田市立博物館では、令和6年度冬季特別展「陸前高田オシラサマはいま」が開催。
この展示は、東北地方に古くから伝わる民間信仰オシラサマ」をテーマにしたもので、令和7年1月25日から3月30日まで、企画展示室にて公開され多くの方がおとずれていたのが印象的でした。

展示資料には、37世帯から寄せられた111体のオシラサマをはじめ、オセンタク(御衣)で作られたサルッコ5体、祭日に使用する掛け図、柳田国男著『大白神考』、被災したオシラサマの調査表や図録など、貴重な資料が数多く並びます。これらの展示からは、震災を経てもなお地域に受け継がれてきた信仰の力強さを感じることができます。

オシラサマ――この名前を耳にしたとき、最初は正直なところ「何だろう?」という印象でした。でも展示室に入ってすぐ、その独特の雰囲気に引き込まれてしまいました。薄明かりの中、木の香りがほのかに漂う空間に、たくさんのオシラサマが静かに並んでいるんです。まるで、時代を超えてそこに息づいているような、不思議な存在感でした。

説明によると、オシラサマは東北地方を中心に古くから信仰されてきた御神体で、家の守り神、養蚕や豊作を祈る神様として大切にされてきたのだそうです。素材は主にクワノキ(桑)で作られていて、頭の形が見える「貫頭型」と、布(オセンタク)で包まれた「包頭型」という2種類があるとのこと。展示の中には、何層にも重ねられた色とりどりの布に包まれたオシラサマがいて、その布の柔らかい質感が、どこか温もりを感じさせました。

また、博物館の資料によると、オシラサマは岩手県内に広く分布していて、特に気仙、上閉伊、下閉伊、二戸地方などに多く残っているそうです。地域によって作り方や祀り方が少しずつ違っていて、それがまた興味深いところです。どの地域でも共通しているのは、“家族の中で守り伝えられてきた”ということ。誰かに強制されるものではなく、自然と生活の中に息づいてきた信仰なんだなと感じました。

現代に受け継がれる信仰のかたち
時代が移り変わる中で、民間信仰の多くは静かに姿を消していきましたが、オシラサマは今も地域の人々によって大切に守られています。展示を通して見えてくるのは、単なる「古い風習」ではなく、人々が自然や生活の中で感じてきた“祈りの形”そのもの。被災したオシラサマの調査資料を見ると、津波の被害を受けながらも修復・保存され、再び祀られている様子もあり、そこには「信仰が生きている」という実感があります。

こうした展示を通じて、改めて“人と神との距離の近さ”を感じます。華やかではないけれど、生活の中に息づく信仰。オシラサマは、どこか懐かしく、そして静かに力強い存在のように思えます。時代が変わっても、人の心の中には祈りが残る。
それは形を変えながら、土地に根付き、世代を越えて伝わっていくものなのかもしれませんオシラサマの静かな眼差しを思い浮かべながら、改めて“伝える”ということの大切さを感じた一日でした。

※本記事は筆者の見聞と感じたことをもとにしています。
オシラサマ信仰にはさまざまな地域的背景や解釈があり、一つの見方としてお読みいただければ幸いです。

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