陸前高田市探訪 「甦る記憶」リメイク版

震災前から震災を経て現在までの記録画像を纏めたリメイク版

免許制度改正の余波ーこんな所にも波及か

先日、ちょっとした集まりがあり、さまざまな事業を営む方々と話をする機会がありました。その中で、世間話や会社の運営に関する話題が交わされる中、最近の免許制度改革についての話がちらほら聞こえてきました。

最初に口火を切ったのは工務店の社長さんで、「この4月に新入社員を採用しようと思うが、マニュアル運転技能をたった4時間そこらで免許取った新人なんか事故が怖くて乗せられないし」「そうかといってオートマ車買う余裕も無いし」「マニュアル車のトラックしかないので今年は社員募集辞めようかどうするか頭を抱えている」と話しました。

建設会社の社長も「新入社員一人のためにオートマ車のトラックを買うのもいいが、もし何かあったときにその車しか運転できないのではどうしようもない」とのことでした。建設会社では、様々な車種を乗りこなせないと仕事にも影響するし、まだ自分の会社が元請けなら良いがこれが下請けや孫請けになると、元請けの現場監督の指示での作業だから、○○だから乗れません。○○だから出来ません等と言っていたら会社自体の信用問題にも繋がりかねないし、建設業界は非常にシビアな世界だからな。との事。

この話題をきっかけに、運送業の社長やタクシー会社の常務も「それは同感だ」と賛同し、議論が盛り上がりました。彼らの多くが、新入社員を採用するためにオートマ車を購入する余裕がないと話していました。大手企業なら問題ないかもしれませんが、中小企業の社長たちにとって、全車両をオートマ車に買い換えるのは容易ではありません。

ある社長さんが、「マイナンバーカードの導入、新札の発行、米の高騰、ガソリンの高騰、そして今回の免許制度改革は、まるで江戸時代の参勤交代のように、各藩の財政を疲弊させる政策に似ているな」。と言った言葉が妙に印象深かった。マイナンバーカードの導入で病院や施設を困らせ、新札の発行で小売業を混乱させ、米やガソリンの高騰で国民を困らせ、今回の免許制度改正で中小企業を苦しめ、産業の活力を鈍化させ、新入社員すら雇えない状況に追い込んでいるのではないでしょうか。

私が以前勤めていた会社には、ユンボ運搬の4tユニック車2台、4tダンプ4台、2tダンプ5台、軽トラダンプ1台、軽トラ2台、軽バン1台、マイクロバス1台、ワゴン車1台の計17台の車両がありましたが、そのすべてがマニュアル車でした。唯一のオートマ車は社長が乗るクラウンだけでした。以前、なぜマニュアル車ばかりなのかと社長に尋ねたことがあります。その時の答えは、「マニュアル車の方が燃費が良いから」でした。

私が乗っていたのは4tダンプで、主に砕石やユンボによる切削土砂の運搬を行っていました。建設業界では、アクセルとクラッチ操作だけで坂道に停車させることは珍しくなく、日常的な技術の一つです。また、ダンプの荷台を上げ下げする際にも、クラッチ操作は欠かせません。例えば、荷台を上げる際はPTOをONにし、レバーハンドルを引いた状態でクラッチを少しずつ離すことでスムーズにダンプアップします。逆に、荷台を降ろした後は必ずPTOをOFFにしないと、思わぬ荷台事故につながる危険があります。さらに、ダンプ専門の業務であっても、人手が不足すればユニック車を使ってユンボを搬送することもあります。このように、多様な作業を求められる現場では、マニュアル車の操作が必須となる場面が多く、たった4時限のマニュアル講習を受けたマニュアル免許所持者やオートマ車限定の免許では対応が難しいというのが現状です。

仮にこの会社が新入社員を採用し、社長の判断でオートマ車を1台導入したとします。しかし、現場では何が起こるかわかりません。例えば、新入社員が乗るオートマ車が砕石を積んで待機していたとき、元請けの現場監督から「そこのダンプを運転して次の現場まで行ってくれ。その間に荷下ろしをしておくから」と言われたとします。その際、新入社員が「オートマ車しか運転できません」と答えたら、最悪の場合「明日から来なくていい」と言われる可能性もあります。上でも書いたが建設業界は非常にシビアな世界なのです。

現実の現場では、単なる机上の論理では解決できない問題が数多く存在します。制度改革を進める際には、実際に現場で働く人々の声を十分に聞き、実態に即した形での改革が求められるのではないでしょうか。また、一つの提案として、4月からマニュアル車の免許を取得した免許所持者がマニュアル車を運転する場合に限り若葉マークに「MT」の文字を加えるのはどうでしょうか。これにより、周囲のドライバーがマニュアル初心者であることを認識しやすくなり、坂道発進時の事故を防ぐ効果が期待できます。もちろん、事故は起こしても起こされても良いものではありません。そのため、こうした予防策を検討することが、安全な交通環境の実現につながるのではないだろうか。

最後に、ネットニュースで「マニュアル車のギアの入れ方がオートマ車と異なっていた」という話を見かけましたが、おそらく坂道での停車や駐車時の対応についてのことだと思います。

オートマ車の場合、停車時や駐車時には「P(パーキング)」に入れ、サイドブレーキをかけるのが一般的な方法です。一方、マニュアル車の場合は、登り坂で駐車する際には「ローギア(1速)」に、下り坂では「バックギア」に入れたうえでサイドブレーキをかけるのが常識となっています。この方法により、万が一サイドブレーキが効かなくなった場合でも、エンジンの圧縮抵抗を利用して車が動き出すのを防ぐことができます。

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